オンデマンド印刷とは?
オンデマンド(on Demand)は、「要求に応じて」「必要に応じて」といった意味の言葉です。
印刷技術の発展は、同じものを大量に印刷するという目的のために進化をしてきました。
そして、その技術は「現在の印刷の主流であるオフセット印刷の誕生」でご紹介したオフセット印刷の登場で、ほぼ達成することができました。
そこで登場したのが、オンデマンド印刷です。
オフセット印刷が大量印刷に適した印刷技法なのに対して、オンデマンド印刷は少ない部数…例えば1冊のみ…といった印刷に適しています。
また、オンデマンド印刷は、電子書籍の普及とともに発展した印刷技術とも言えます。
オンデマンド印刷の仕組みと歴史
オフセット印刷は、作成した版を印刷機にセットして印刷をします。
版を作るためのコストが発生するため、少ない印刷枚数のために版を用意することは難しいのが現状です。
一方、オンデマンド印刷では版を作成することなく、デジタルデータを複写機やプリンタのように印刷を行うため、少ない量を短時間で印刷することができます。
オンデマンド印刷の歴史はまだ浅く、1990年代後半に米国ゼロックス社が発売した「DocuTech」が先駆的な役目を果たしました。
今ではコニカミノルタ、リコー、キヤノンも参入し、複合機(コピー機)に次ぐ大きな市場として注目されています。
オンデマンド印刷と電子書籍の相乗効果
電子書籍とオンデマンド印刷は1冊単位で注文を受けて販売するという点で類似性があります。
そして、注文分だけを販売するため在庫を持つ必要がないというメリットがあります。
言い換えれば、品切れという概念が存在しないので、ユーザーは注文さえすれば必ず商品(電子書籍の場合はデータ)を入することができます。
そして、電子書籍とオンデマンド印刷を融合させたサービスが多く登場しています。
インプレスR&DのNext Publishing(http://nextpublishing.jp/)はその一例です。
同社のサイトには「狙い」として以下のような文章が掲載されています。
伝統的出版の諸問題により、専門的な書籍の発行や新しいテーマでの企画がむずかしくなってきています。NextPublishingは、伝統的出版では経済的に困難なこれらの多品種少部数の出版を可能にし、優秀な個人や組織が保有している多様な知の流通を促進することを目的にしています。
ここでの伝統的出版とは、書籍を大量に印刷をして販売をする従来の出版・販売方法のことです。
それほど多くのニーズがなく、ベストセラーと呼ばれる書籍のような売り上げは見込めないという理由で出版されることがなかった「知の流通」を実現するのが、オンデマンド印刷と言えそうです。
電子書籍元年からこれまでの売り上げ推移
アメリカでは、アマゾンが電子書籍リーダー「キンドル」を発売した2007年が電子書籍元年とされています。
それに遅れること3年、日本では2010年が「電子書籍元年」と言われています。
ただ、単純に売り上げの推移を見てみると、アメリカにおいてもアップルがiPadを発売した2010年以降に電子書籍市場が活況を呈したという事実があります。
その後の推移が以下になります。
出典:http://internet.watch.impress.co.jp/docs/news/1012421.html
2011年度に629億円とされていた国内電子書籍市場は、2015年度に1826億円となり、
東京オリンピックが開催される2020年度には3480億円という規模になると予想されています。
この数字は2011年の約4~5倍という試算となります。
さらに、2015年度までの電子書籍の売り上げの内訳は、以下のようになっています。
2015年度を見ると、コミックが約81%を占めており、その割合は前年度から横ばい状態です。
調査会社の発表によると、これらの売り上げには
- 電子新聞
- 教科書
- 企業向け情報提供
- ゲーム性の高いもの
- 学術ジャーナル
は含まれていないことから、これらの項目を含めた電子書籍全体としては、さらなる収益となっていると言えます。
「アップル一強時代」はすでに終わっている!
日本のタブレット端末市場は、2013年度に713万台、2014年度に919万台と成長しました。
出典:http://ictr.co.jp/report/20170608.html
そして、IT専門調査会社であるIDC Japan株式会社の調査によると、アップル社が40%を超えるシェアを獲得している一方で、ファーウェイ、エイスース、NEC Lenovoグループ、富士通といったベンダーの商品も一定の支持を得ているようです。
出典:http://www.capa.co.jp/archives/6503